国際結婚・国際相続

国際結婚

日本における近年の国際結婚の割合は全体のほぼ3%台で推移しています。国籍別にみると中国、韓国、フィリピンで全体の7割を占めます。日本人と結婚・離婚した場合に問題となり得る在留資格2つについて取り上げます。

結婚関連の在留資格一覧

日本人の配偶者等
(便宜的に「配偶者ビザ」と呼称します)

日本人と結婚した者、日本人の特別養子、日本人に認知された子などが該当します。内縁、同性婚、夫婦の実態を伴わない婚姻、死別、離婚をした場合は「配偶者」には含まれません。また、一般的な養子縁組は特別養子には含まれません。

定住者

法務大臣が告示によって定める「告示定住」と、告示されていないが特別な理由として認められる余地のある「告示外定住」の2つに分けられます。定住者は他の在留資格に該当しない者で、在留を認める特別な理由がある場合に認められるものであるため、特別の理由の有無は証拠書類や根拠説明書等で丁寧に説明することが求められます。

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■国際結婚、離婚について

国際結婚では役所に婚姻届けを提出するだけで、外国人の方が適法に日本に在留できる資格が与えられるわけではありません。また、どちらの国で先に婚姻手続きを進めるかでその手続きと必要書類も異なります。国によっては必要書類(例:婚姻要件具備証明書など)が揃わない場合もあり、宣誓供述書などの代替書類で補完することもあります。離婚についても同様です。子供の親権や養育費の問題、協議離婚書の作成の要否などについても問題となります。また、離婚制度の異なる国家間では、協議離婚(双方の合意のみで離婚が成立)を認める日本に対して、裁判離婚しか認めない国もあります。フィリピンのようにそもそも離婚の制度自体が存在しない国もあります。

婚姻要件具備証明書

外国人の本国の法律に従って結婚できる条件を全て満たしていることを明らかにした公的文書です。婚姻に関する各国の法律(例:婚姻適齢や女性の再婚禁止期間等)が異なる中で、日本の役所が世界中の法律を熟知しているわけではありません。その際、婚姻要件具備証明書を当該外国人が日本の役所に提出することで、当該外国人が本国において婚姻要件を具備していることが証明されます。

国際相続

在留外国人の増加に伴い、日本で生涯を終える外国人の数も増えています。国境を越えた相続においては、そもそも日本の裁判所が当該事件を取り扱うことができるのかといった国際裁判管轄の問題、日本の裁判所に管轄権が認められるとして次にどの国の法律を適用すべきかという準拠法の決定・適用の問題、さらには相続人の範囲や相続分を定める各国の相続法制が日本と同じなのか違うのか、戸籍制度のない国ではどのように相続関係を証明すればよいかなど、さまざまな問題を含みます。外国文書の翻訳や外国法の調査は不可欠であり、必要に応じて在外公館や各国の法律の専門家の力を借りながら、慎重に手続きを進めていく必要があります。